一般社団法人 日本肝胆膵外科学会

高度技能専門医

修練カリキュラム

更新日時:2017年1月17日

一般社団法人日本肝胆膵外科学会高度技能専門医修練カリキュラム

外科系専門医については日本外科学会専門医制度を基盤としたサブスペシャリティの外科専門医制度が構築されてきている。その中で、日本消化器外科学会による消化器外科専門医制度は修練カリキュラムが完成し、多くの消化器外科専門医を輩出し、消化器外科診療のレベル向上に役立っている。日本肝胆膵外科学会(以下、本学会)においては、肝胆膵外科領域における高度な専門知識と主体的かつ的確な技術を擁する肝胆膵外科高度技能専門医(以下、高度技能専門医)を養成し、国民の福祉に貢献し、肝胆膵外科の進歩をはかるために、日本肝胆膵外科学会高度技能専門医修練カリキュラムを提示する。

基本的事項

高度技能専門医申請資格は本学会評議員であり、消化器外科専門医であることを必須とする。

呼称は「肝胆膵外科高度技能専門医」とし、書類審査とビデオ審査により、知識、態度と技術を評価し認定する。

修練内容について

  1. 肝胆膵外科臨床に携わり、主体的かつ的確な高度技術を有する肝胆膵外科医の養成を目的とする。
  2. 外科専門医、消化器外科専門医のカリキュラムの内容に加え、肝胆膵外科領域の専門的な研修、特に肝胆膵外科領域の高難度手術を本学会の認める修練施設において、肝胆膵外科高度技能指導医(以下、高度技能指導医)あるいは高度技能専門医の指導の下で経験する。
  3. 経験手術数の到達目標数を明確にする。
  4. 学会の指定する教育プログラムに参加する。

修練期間について

申請時直近の7年以内に3年以上(申請日前年の12月31日まで)の修練期間中に目標手術件数を経験することが求められる。ただし、消化器外科専門医研修期間との重複は認めることとする。

修練の評価について

  1. 形成的評価:指導者は高度技能専門医修練のための指導マニュアルに沿って修練者を評価する。
  2. 手術経験実績:行動目標に規定する手術記録の確認審査を行う。
  3. 受験資格:受験申請時に消化器外科専門医かつ本学会評議員であること。
  4. ビデオ審査の詳細については技能認定委員会にて定め、日本肝胆膵外科学会高度技能専門医制度規則細則に記載する。

高度技能専門医修練カリキュラム

一般目標

日本消化器外科学会の消化器外科専門医としての医療技術、知識を基礎にし、更に肝胆膵外科の高難度手術を主体的かつ的確に実践できる高度技能専門医を養成するために、到達目標を定め、研修を実施する。

  1. 肝胆膵外科領域全体を包括した高度技能専門医としての知識、臨床的判断能力、問題解決能力を修得する。
  2. 手術については高難度の肝胆膵外科手術を主体的かつ的確に遂行できる技術を修得する。
  3. 自らの研修とともに上記項目について後進の指導を行う能力を修得する。
  4. 医の倫理に配慮し、肝胆膵外科の高難度手術患者の診療を行うに適切な態度、習慣を身に付ける。

行動目標

  1. 手術技術
    高難度肝胆膵外科手術50例以上を、修練施設で高度技能指導医または高度技能専門医の指導(指導的助手を意味する)の下で術者として行う。高難度肝胆膵手術50例以上の中では、高難度肝胆道手術5例かつ高難度膵臓手術5例以上を経験する。さらに、術者としての経験50例以外に、第一助手として高難度肝胆道手術5例、かつ高難度膵臓手術5例以上を経験する。
    高難度肝胆膵外科手術

      肝胆道手術

    肝三区域切除
    肝葉切除および拡大肝葉切除
    肝中央二区域切除
    区域切除;後区域、前区域、内側区域 (外側区域は除く)
    亜区域切除(S1,S2,S3,S5,S6,S7,S8,であり、原則として非定型的部分切除は除く)
    肝移植レシピエントの移植手術
    肝移植ドナーの肝切除
    胆管切除を伴う肝切除(ただし、肝葉切除および肝S4a+S5切除以上)
    胆嚢胆管切除+胆管消化管吻合(先天性胆道拡張症に対するもののみ)

      膵臓手術

    膵全摘術(残膵全摘も含む)
    膵頭十二指腸切除(幽門輪温存を含む)
    膵体尾部切除(D2リンパ節郭清を伴った膵癌に限る)
    膵中央切除
    十二指腸温存膵頭部切除
    膵頭温存十二指腸切除
    Ventral pancreatectmy
    下膵頭切除
    Beger手術、
    膵移植レシピエント手術
    膵移植ドナーの膵切除

      血管合併切除再建

    門脈切除再建を伴う肝胆膵領域の手術
    肝部下大静脈再建を伴う肝胆膵領域の手術
    肝静脈切除再建を伴う肝胆膵領域の手術
    上腸間膜動脈切除再建を伴う肝胆膵領域の手術
    肝動脈(腹腔動脈系)切除再建を伴う肝胆膵領域の手術

    注:肝膵同時切除で肝臓手術、膵臓手術を同時に施行した場合でも1症例の手術経験として計算する。また、血管合併切除再建と高難度肝胆道手術・高難度膵臓手術を同時に施行した場合は、1症例の手術経験として計算する。術者が複数名の場合、主に携った1人のみの経験とする。また、上記以外でも高難度と考えられる症例は、それが証明可能な手術記録(写)を手術実績表に添付する。手術記録にはスケッチが含まれ、手術時間、出血量、stageが記載されているものとする。亜区域切除症例がある場合は、その手術記録(写)と術中写真を添付する。高度技能専門医審査においては手術記録も審査対象である。したがって、高度技能専門医申請者が術者の場合は、自らが手術記録を記載することを原則とする。
  2. 生涯学習
    (1)施設内カンファレンスを司会し、積極的に討論に参加する。
    (2)個々の症例に合わせ、根拠に基づいた診療(EBM)を行う。
    (3)学術集会、教育プログラムに参加し、日進月歩の医学、医療の実情に触れる。
    (4)学術集会、学術出版物に症例報告や臨床研究の結果を発表する。
  3. 医の倫理
    (1)育成指導者のもと担当医として症例を受け持ち、肝胆膵外科診療における適切なインフォームド・コンセントを行う。
    (2)生活指導、術後療養の指導、ターミナル・ケアを適切に行う。
    (3)後進医師に対して、肝胆膵外科診療についての指導を行う。
    (4)文献や育成指導者の意見などの教育資源を活用する方法を学ぶ。
  4. 医療行政
    医療行政、医療管理(リスクマネージメント、医療経営、チーム医療など)についての重要性を理解し、実地医療現場で実行する能力を修得する。
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