一般社団法人 日本肝胆膵外科学会

高度技能専門医

高度技能専門医制度規則資格認定施行細則 2022年12月主な変更点

更新日時:2022年12月5日

赤字部分は追加箇所です。赤字+訂正線は削除箇所です。
各種申請を行う際は、必ず本書面だけでなく、ホームページで公開中の細則や申請要項を確認して下さい。

 

高難度肝胆膵外科手術定義の改定

第8条 1) 抜粋

 

高難度肝胆膵外科手術

 肝臓胆道手術

肝三区域切除
肝葉切除および拡大肝葉切除
肝中央二区域切除
区域切除;後区域、前区域、内側区域(外側区域は除く)
亜区域切除(S1,S2,S3,S5,S6,S7,S8,であり、原則として非定型的部分切除は除く)
肝移植レシピエントの移植手術
肝移植ドナーの肝切除
胆管切除を伴う肝切除(ただし、肝葉切除および肝S4a+S5切除以上)
胆嚢胆管切除+胆管消化管吻合(先天性胆道拡張症に対するもののみ)


*2022年以降の症例については、以下の部分切除症例についても高難度肝胆膵外科手術として認める。
1、 非系統的肝切除で、切除箇所数に関わらず、切除深度が5cm以上注1-3のもの。
2、非系統的肝切除で、切除箇所数が3箇所以上 かつ少なくとも1箇所は切除深度が3cm以上注1-3のもの。
3、非系統的肝切除で、S1の肝部下大静脈部の切除を含むもの注4-5
4、腹腔鏡下非系統的肝切除注6で、腫瘍の主占居部位がS1注4であるもの。ただし、下大静脈からの剥離操作(短肝静脈の処理)が含まれていることとする。
5、腹腔鏡下非系統的肝切除注6で、腫瘍主占居部位がS4a、S7、S8注4であるもの。ただし、腫瘍径4cm以上または切除深度が4cm以上注1-2,7であることとする。

 

 注:

  1. 切除の深さがはっきりと認識できるような、切除標本の最大割面の写真を提出すること。
  2. 切除深度は、切除標本の最大割面における肝表面から最深部までの最短距離とする。肝外に突出する腫瘍の切除深度は、肝外に突出した腫瘍部分を除いた肝表面の高さから最深部までの最短距離として測定する。
  3. 外側区域の部分切除の切除深度は、外側区域の形状の特殊性から、適格基準から原則的には除外する。ただし、外側区域切除を切除箇所の一つとして算定できる。
  4. 腫瘍の局在が判断できる術前画像(CTまたはMRI)を添付すること。
  5. 尾状葉(S1)の定義はKumonの分類に従い、肝部下大静脈部(paracaval portion)を含めた3つの領域は門脈の支配領域から定義する。肝部下大静脈部の門脈枝は、門脈本幹ないし一次分枝の頭側面から、肝部下大静脈の腹側に分布する枝とする。
  6. HALSで行った切除は対象とするが、Hybridで行った切除は対象としない。
  7. 腫瘍径が4cm未満であっても、腫瘍が深部に位置し切除標本の最大割面の深さが4cm以上であれば対象とする。

  参考:切除深度の測定法 適格基準(上記注1、2、5)

 胆道手術

胆管切除を伴う肝切除(ただし、肝葉切除および肝S4a+S5切除以上)
拡大胆摘以上の肝切除とリンパ節郭清を伴う胆嚢癌手術注a,b
胆嚢胆管切除+胆管消化管吻合(先天性胆道拡張症に対するもののみ)

 膵臓手術

膵全摘術(残膵全摘も含む)
膵頭十二指腸切除(幽門輪温存を含む)
膵体尾部切除(D2リンパ節郭清を伴った膵癌に限る)
リンパ節郭清を伴う膵体尾部切除(膵原発浸潤性悪性腫瘍、NETに限る)注a,c
血管温存膵体尾部切除注a

膵中央切除
十二指腸温存膵頭部切除
膵頭温存十二指腸切除
Ventral pancreatectomy
下膵頭切除
Beger手術
Frey手術注a
膵移植レシピエント手術
膵移植ドナーの膵切除

 注:

  • a.高難度肝胆膵外科手術定義適用時期について
    以下の4術式に関しては、2023年より新しい定義に従った申請を可能とする。
    ・拡大胆摘以上の肝切除とリンパ節郭清を伴う胆嚢癌手術
    ・リンパ節郭清を伴う膵体尾部切除(膵原発浸潤性悪性腫瘍、NETに限る)
    ・血管温存膵体尾部切除
    ・Frey手術

    ただし、新しい定義に従った症例は 2022 年 1 月 1 日の症例から有効とし、2021 年 12 月 31 日の症例までは旧定義での審査を行う。
    また、新しい定義で除外される手術(膵体尾部切除+2 群リンパ節郭清を行ったが術後病理で良性が判明した症例など)は、2022年 12 月 31 日までの症例は認めるが、その後は認めない。
  • b. 術後病理検査でT2以深と診断されることを必須とする。
    肝床(胆嚢床)切除以上の肝切除を必須とする。
    *単純胆嚢摘出術の術後病理診断で胆嚢癌T2以深と判明し、追加切除として肝部分切除+リンパ節郭清を行う場合も当該再手術を高難度手術と認める。
  • c. 術後病理検査で周囲組織への浸潤性伸展を有する悪性腫瘍、もしくはNETと診断されることを必須とする。
    含まれる腫瘍、含まれない腫瘍を下記に例示する。
    含む:浸潤性IPMC・浸潤性ITPN・浸潤性膵管癌・腺房細胞癌・NET
    含まない:SCN・MCN・浸潤性の無い膵管内腫瘍・PanIN・SPN・膠芽腫・非上皮性腫瘍

 血管合併切除再建
以下の手術は非高難度の肝胆膵外科手術と共に行った場合、高難度肝胆膵外科手術として認める。

門脈切除再建を伴う肝胆膵領域の手術
肝部下大静脈再建を伴う肝胆膵領域の手術
肝静脈切除再建を伴う肝胆膵領域の手術
上腸間膜動脈切除再建を伴う肝胆膵領域の手術
肝動脈(腹腔動脈系)切除再建を伴う肝胆膵領域の手術

肝膵同時切除で肝臓手術・胆道手術、膵臓手術を同時に施行した場合でも1症例の手術経験として計算する。また、血管合併切除再建と高難度肝臓手術・胆道手術・高難度膵臓手術を同時に施行した場合は、1症例の手術経験として計算する。術者が複数名の場合、主に携った1人のみの経験とする。また、上記以外でも高難度と考えられる症例は、それが証明可能な手術記録(写)を手術実績表に添付する。

  

  

手術記録(写)提出時の追加書類について

第16条 抜粋

手術記録(写)は術者の名前を術者欄の一番先頭に記載し、亜区域切除症例がある場合は術中写真を、2022年1月1日より追加となる高難度非系統的肝切除症例がある場合は本施行細則第8条に定めてある内容に従い切除標本の最大割面の写真および切除標本の写真と術前画像(CTまたはMRI)を添付する。また、2022年1月1日以降の拡大胆摘以上の肝切除とリンパ節郭清を伴う胆嚢癌手術および膵体尾部切除症例については、病理報告書の提出を必須とする。2012年1月1日以降の症例についてはスケッチが含まれ、手術時間、出血量 、Stageが記載されているものとし、2013年1月1日以降の症例については、スケッチを取り込むことができない電子カルテにおいてもスケッチは別途保存しておき、提出すること。

  

  

修練施設再認定基準の変更

第17条 抜粋

修練施設が何らかの理由によりその資格を失った場合は、再認定申請を行い審査を受けることで再び修練施設として認定されることを可能とする。再認定申請の方法および手術実績基準は新規申請と同様であり、高難度肝胆膵外科手術症例は、申請前年の12月末までの1年分すべてを申請する。ただし、死亡率が高い、虚偽の申請が認められたなどの理由により修練施設資格認定取り消し処分を受けた施設については、再認定申請時に改善報告書を提出する必要があり、改善が認められるまで修練施設として認められない。いずれの場合も、申請時に常勤の高度技能指導医あるいは高度技能専門医が在籍している必要があるが、申請手術の実施期間中はこの限りでは無い。

  

  

申請の猶予について

第24条 抜粋

高度技能専門医・高度技能指導医の新規・更新申請のための業績点数(学会出席・教育プログラム参加)および手術実績が病気・出産・留学などやむを得ない事情で不足している場合は、申請前に事務局へ書面にて申し出ること。各認定委員会および高度技能専門医制度委員会の議を経て猶予を認めるか否か検討する。各認定委員会および高度技能専門医制度委員会の議を経て猶予を認めるか否か検討する。

 

NCDへの登録および更新システムについて

第27条

2011年1月1日以降の高難度肝胆膵外科手術症例は、National Clinical Database(以下、NCD)に登録されていなければならない。

高度技能専門医制度の各種申請において、NCDに登録されていない症例はNCDの本学会用申請システムで手術実績として認められない。

ただし、NCDの本学会用申請システムが稼働するまでは従来の申請様式を踏襲する。また、高難度肝胆膵外科手術の定義が改訂された後も、NCDの本学会用申請システムを用いて更新申請を行う場合はNCD登録システムの改訂が行われるまで改訂前の術式にて申請が行われることとする。

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