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胆嚢結石・総胆管結石

更新日時:2017年7月31日

胆石(胆石症)とは

胆石(胆石症)の概要

胆石(たんせき)とは肝臓(かんぞう)や胆のう、胆管(たんかん)にできる結石です(図1)。結石がどこにあるかによって、肝内結石、胆のう結石、胆管結石(総胆管結石)という名称がついています(図2、図3)。

人体ではそのほかに、腎臓でできる腎結石、すい臓でできる膵石、胃の中にできる胃石、消化管の中でできる糞石、ほかに膀胱結石などがあります。これらは、それぞれできる仕組みが異なり、全く別の病気です。

1997年の日本胆道学会による胆石全国調査報告では、最も多いのが胆のう結石で78%、次いで総胆管結石が21%、肝内結石は1%でした。一般的に胆石症というと最も多い胆のう結石症をさします。

【図1】

【図2】

【図3】

 

胆のう結石症(胆石症)の症状

胆のう結石があるからといって、必ずしも症状があるわけではありません。胆のう結石をもっている人の23%は無症状といわれています。胆のう結石症の自覚症状のNo.1は右季肋部痛(みぎきろくぶつう)です。右の肋骨の下あたり(右肋弓下)に差し込むような痛みを感じます。背中や肩に抜けるような痛み(放散痛)を伴うこともあります。胆石の痛みは決まったところだけが痛むのではなく、人によっては、みぞおちやおへその上のほう、右の肩甲骨(けんこうこつ)の下、腰痛などといろいろです。痛みの種類も鋭く差し込むような痛み(疝痛、せんつう)や鈍い重苦しい痛み、肩こりのように張った感じ、などいろいろです。胆のう結石症の症状は、結石そのものの機械的な刺激(胆のうの中で動いたり、はまり込んだりすること)や、結石があることによって2次的に引き起こされる胆汁のうっ滞(よどみ)や細菌感染によって引き起こされます。痛みのほかに発熱や嘔吐がおこることもあります。

 

胆石の治療法

胆のう結石の治療法は、大きく内科的治療と外科的治療に分かれます。内科的治療には、胆石溶解療法、体外衝撃波などがあります。外科的治療(手術)は胆のう摘出術です。

おなかが痛んだり、発熱があったりする胆のう結石症は手術をしたほうがいいでしょう。無症状の場合は基本的に手術適応ではありません。ただし胆管結石は診断されたときは無症状でも後に有症状化することが多く、胆管炎や膵炎を惹き起こすこともあるので、症状のあるなしにかかわらず治療が必要です。肝内結石はその状態によります。

胆石溶解療法は、石が溶解するまでに1年ぐらいかかり、完全に溶解できるのは18%ぐらいのようです。再発は1年で17%、3年で40%という報告があります。

体外衝撃波(ESWL)は、胆のうの機能や石の種類によりますが、完全消失が約55%、再発率は1年で20%、5年で40%程度といわれています。

外科的な治療法である胆のう摘出術は、胆のう結石ができる場所をなくしてしまうという意味で根本的な治療であるといえます。

 

手術について

胆のう摘出術には、開腹と腹腔鏡を用いた二つのアプローチ方法があります。開腹による胆のう摘出術は1882年にLangenbuchが初めて施行した歴史がある手術です。開腹手術に対し、わが国では1990年から腹腔鏡下手術が行われるようになりました。お腹に二酸化炭素のガスを注入してすき間をつくり、腹腔鏡と呼ばれるカメラをお腹に差込み、お腹の中の様子をテレビモニターに映しだし、さらに数ヶ所の小さな傷から、手術器械(手術器具)を差し入れて、従来の開腹手術と同じ内容の手術を行います。この方法ですと手術の後に身体を動かしたり、食事を摂ったりできるようになるまでの時間が、開腹手術に比べて早いというメリットがあります。さらに、腹腔鏡手術はきずの大きさや数を減らすreduced port surgeryといわれる方法や1か所のきずからすべての操作を行う単孔式、などいろいろなアプローチ方法が開発されています。

手術は全身麻酔で行い、胆のう結石症に対する腹腔鏡下胆のう摘出手術は保険診療になります。

 

手術の危険性について

技術と手術器具の進歩によって、腹腔鏡下胆のう摘出手術の適応は大きく広がりました。現在はほとんどの胆のう結石症が腹腔鏡下手術の対象であるといっても過言ではありません。しかし、肥満によって内蔵脂肪が多すぎたり、以前に上腹部の手術(胃や十二指腸などの手術)を受けているために癒着が強かったりすると、手術が危険になることがあります。また、予想外に出血した場合や、癒着などにより臓器の構造が不明である場合には、手術中に腹腔鏡下手術から開腹手術に変更します。この変更は手術合併症ではなく、手術を安全に遂行するための変更であると理解してください。

胆のう摘出術に伴う合併症には、胆汁漏出や胆管損傷があります。また、腹腔鏡手術に伴う合併症で深刻な問題は深部静脈血栓症(いわゆるエコノミー症候群)です。下肢静脈瘤をお持ちのかたやピルを内服されている方はリスクが高くなります。深部静脈血栓症を予防するための医療用弾性ストッキングや器械を使用することが推奨されています。

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