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乳頭部がん

更新日時:2017年7月11日

乳頭部とは

乳頭部がんの概要

乳頭部とは十二指腸の中心付近に位置し、肝臓で作られる胆汁の通り道である胆管と、膵臓で作られる膵液の通り道である膵管が合流し十二指腸に開口する場所です。(図1、2)乳頭部がんはこの膵管と胆管の合流部である乳頭部に発生する悪性腫瘍です。

【図1】

  

【図2】

危険因子

乳頭部がんの危険因子といえる病態は報告されていません。発がん過程では良性の腺腫からがんになるとされ、十二指腸乳頭腺腫(良性腫瘍)は前がん病変と考えられています。

 

症状

胆汁と膵液の通り道が腫瘍で塞がれる場合が多いため、臨床症状としては胆汁の流れが悪いために起こる黄疸、膵液の流れが悪いために起こる膵炎それに伴う腹痛などを認めます。

 

乳頭部がんの診断

 

  1. 内視鏡検査
    内視鏡検査では内視鏡を十二指腸まで挿入し、乳頭部を観察します。腫瘍を直接観察でき、また組織を採取し病理組織検査を行うことが可能です。
     
  2. 腹部CT検査
    小さい腫瘍の場合、CT検査で腫瘍を同定することはしばしば困難ですが、上記のように胆管や膵管が塞がれている場合、肝臓内の胆管や、膵臓内の膵管が拡張している間接的な所見を認めます。また肝転移など遠隔転移の有無を診断するのにも有用です。
     
  3. 超音波内視鏡検査
    超音波内視鏡検査とは、先端に超音波検査装置が搭載されている内視鏡による検査です。体の外から観察する通常の超音波検査に比べ、腫瘍のごく近くで観察することができるため、十二指腸への浸潤、膵臓実質への浸潤、胆管への浸潤などを判定することが可能であり腫瘍の進展を診断する上で大変有用な検査です。
     
  4. 内視鏡的逆行性膵胆管造影検査
    内視鏡的逆行性膵胆管造影検査では、胆管や膵管の中にチューブを挿入し造影検査を行うことにより胆管内や膵管内への癌の進展を調べる事ができます。また黄疸や膵炎に対する治療として胆管や膵管内にドレナージチューブを留置することがでます。
     

乳頭部がんの治療

外科的治療

乳頭部がんに対する標準的治療は手術による切除です。手術術式としては、膵頭十二指腸切除術が標準的です。膵頭十二指腸切除では、十二指腸、膵臓の頭部、下部胆管、胆のうを切除します(図3)。残った胆管は小腸に、膵臓は小腸や胃などに吻合します。

【図3】

 

 

内視鏡的治療

近年、早期の乳頭部がんや手術による切除が全身状態不良で出来ない場合などに内視鏡的乳頭切除術が施行される場合ありますが、再発率が高い事などが報告されており標準的治療としては確立されていません。

 

抗がん剤治療

遠隔転移などで手術ができない場合には抗がん剤治療を行います。抗がん剤は、ゲムシタビン、S1などを用います。手術後に行う抗がん剤治療である術後補助化学療法は、現在のところ標準的治療としては確立されていません。

 

予後

 乳頭部がんは、膵臓、胆道領域のがんの中では比較的予後良好ながんですが、がんの進展度により予後は著しく異なります。がんが膵臓の実質まで浸潤している場合は膵臓がんと同様で予後不良とされています。またリンパ節転移陽性、神経への浸潤、血管・リンパ管への浸潤なども予後不良の因子として報告されています。外科的治療が行われた後、病理組織検査にてこれらの予後不良因子を認める場合は厳重な経過観察が必要となります。

 

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