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胆のうがん

更新日時:2017年7月7日
胆のうがんとは

胆のうがんの概要

 胆のうがんは消化器がんの中で治療が困難ながんの一つです。その理由は、胆のうがんは、自覚症状・初期症状に乏しいこと、また、周囲に肝臓、胆管、十二指腸、膵臓、大腸など重要臓器が存在するため、発見された時点で周囲臓器に浸潤をきたした進行がんがあることが多いからです。

 胆のうがんは、胆管がんと合わせて、胆道がんとして、統計解析されています。日本人の胆道がんによる死亡数は、2014年には約19000人で徐々に増加してきています(図1)。

【図1】 日本人のがん死亡数の推移

 胆のうがんを引き起こす特定の原因はまだ明らかではありませんが、いくつかの要因が発がんに関連していると言われています。

  1. 胆石症 
    胆のうがんの症例の50~75%に胆石を合併することが分かっており1,2,3、結石による慢性的な炎症や胆汁成分の変化ががんを誘発すると考えられています。しかし、症状のない胆石(無症候性胆石)の場合には、長期間経過観察しても胆のうがんの発生は少ないと考えられており、(5年間での発がん率は、0.3%と報告されている)4、すぐに手術を行うのではなく、定期的な経過観察が勧められます。
     
  2. 胆のう腺腫 
    胆のうにできるポリープのうち、腺腫と呼ばれる腫瘍は将来的に悪性化する危険性が高いことが知られています。胆のうに対しては、内視鏡的な組織検査ができないため、10ミリを超えてくる増大傾向のあるポリープや立ち上がりがなだらかなポリープは腺腫または、がんの可能性が高いため、手術適応と考えられます。
     
  3. 膵胆管合流異常症 
    膵管と胆管の合流形態の異常により、胆汁と膵液が胆管内で混ざりあう病態で、胆のうがん発生のリスクが高いことが知られています。合流異常が見つかった場合、予防的に胆のう摘出術が行われることがあります。
     

 

胆のうがんの診断

 胆のうがんの主な症状は、右上腹部通、悪心・嘔吐、体重減少、食欲不振、腹部膨満・腹部腫瘤、黄疸、掻痒感などですが、いずれも胆のうがんだけに見られる特有の症状ではありません。また、上記のような症状は進行して初めて出てくるものであり、早期には無症状で経過します。

【図2】胆のうと周囲の臓器

 胆のうがんの診断では、CT・MRI・超音波・超音波内視鏡などの画像検査が有用です。血液検査でわかる腫瘍マーカーも参考になります。

 

胆のうがんの進行度(胆道がん取り扱い規約第6版)

 胆のうがんの局所進展度(T)とリンパ節転移(N)の程度から、4段階の進行度(ステージ)に分けます。ステージ1はがんが粘膜や筋層にとどまるもの、ステージ2はがんが筋層を超えるが壁内にとどまっているもの、ステージ3はがんが胆のう外へ露出し、周囲臓器に直接浸潤したもの(IIIA)、または、リンパ節転移をしているもの(IIIB)、ステージ4は2か所以上の周辺臓器に浸潤しているもの、大血管に浸潤しているもの(IVA)、遠隔転移のあるもの(IVB)です。

 

胆のうがんの治療

胆のうがんに対する手術

 ステージ1の胆のうがんは、胆のうを摘出するだけでほぼ治ります。一方、ステージ2以上の胆のうがんでは、胆のう周囲までがんが広がるため、根治切除(がんを取りきる手術)のためには、周辺臓器(肝臓、胆管、膵臓、大腸、十二指腸、リンパ節など)の合併切除が必要となり、大手術になります。従って、がんの広がりと切除臓器範囲、全身状態などを十分に検討したうえで、手術適応を決める必要があります。遠隔転移がある場合、手術適応にはなりません。肝切除とリンパ節郭清が基本術式ですが、病変の広がりに応じて、胆管切除胆道再建や膵頭十二指腸切除や大腸切除などを追加で行う場合もあります。

 術式 胆のう摘出術
    胆のう床切除術 
    右肝切除 
    その他の肝切除
    膵頭十二指腸切除
    その他の合併切除

 

手術と補助療法

 補助療法とは、外科手術にプラスして術前・術中・術後に行われる化学療法・放射線療法などの治療法です。胆のうがんに対する補助療法の有効性を示した研究はこれまでありません。現在、臨床研究でその有効性を検討しています。

 

胆のうがんに対する化学療法

 切除不能の胆のうがんに対する最適な治療法は化学療法です。化学療法としては以下のような薬剤を点滴または経口で投与します。全身状態が良好な患者さんに対する最も標準的治療法は1です。

  1. ゲムシタビン+シスプラチン
  2. ゲムシタビン
  3. S-1
  4. ゲムシタビン+S-1

 

 

 

 

参考文献

  1. 乾 和郎、中澤三郎、山雄健次、ほか:胆石併存胆のうがんの術前診断の可能性.胆と膵10:1547-1552, 1989.
  2. 松崎靖治、田中直見、大菅俊明:胆石症と胆のうがん.胆と膵8:1525-1529, 1987.
  3. 鬼島 宏、渡辺英伸:早期胆のうがんの病理.早期胆のうがん.中澤三郎,乾 和郎編集,23-38, 医学図書出版, 1990.
  4. 乾 和郎、中澤 三郎、芳野純治、ほか:無症状胆石と胆のうがんに関する臨床的検討.胆と膵19:283-286, 1998.
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